ここでは簿記受験に最低限必要な知識を紹介する.
学生, 社会人, 転職希望者, etc… 様々な立場の人が取得する資格だからこそ, 新米フリーランス独自の視点から紹介したい.
簿記3級についてまとめた記事はこちら.
概要は次の通り.
参考サイト
大変参考になりました.
そもそも簿記ってなに?
税理士・公認会計士等を目指さないのなら次のような理解でok.
※追記 20170115
公認会計士受験資格に簿記は必須ではない, というご指摘を頂きました.
- 厳密性が求められる事業主用のお小遣い帳
- お小遣い帳(帳簿)を複雑なルールに従って記入するもの
- 自力で青色確定申告を行うフリーランスが苦労して身に付ける必須スキル
大切なのは
- 帳簿の付け方一つで支払う税金が変わってくる
ということ.
資金力がある個人事業主, 企業は税理士さんや専門業者に確定申告をはじめとしたお金にまつわる様々な業務を依頼できる(らしい).
私は新米個人事業主なので自身で確定申告を行う.
前年度は簿記の「ぼ」の字も知らなかったのでとても苦労した記憶がある.
その時の記事がこちら.
もう懲り懲り
もう懲り懲りです。
- 勘定科目で悩むのも
- 借方/貸方で悩むのも
「借方/貸方」 と書いている時点で, 「仕訳」という用語も知らなかったんですね, 私….
何に活かせる資格なの?
ここでは日々の生活の中で簿記3級が何に活かせるのかについて紹介する.
次の2つの立場で活かせる場面が異なる.
- フリーランス(個人事業主)
- フリーランス以外
フリーランスなら日々の帳簿付け から 青色確定申告まで
自力で青色申告書類を作成しようと思っているフリーランスは簿記の知識は必須.
日々の帳簿付けから年に一度の確定申告まで役立つこと間違い無し.
フリーランス以外なら 「教養」 として
あくまでも簿記3級は「教養」レベルの資格だと思う.
ネットでは 「簿記3級を持っていればxxに有利!」 という記事をたびたび目にする.
しかし, 私は会社員時代に事務系の業務に携わったことがないので正直分からない.
簿記を主催する商工会議所HPには 3級の位置付けが明記されている.
3級
ビジネスパーソンに必須の基礎知識。
経理・財務担当以外でも、職種にかかわらず評価する企業が多い。
基本的な商業簿記を修得し、経理関連書類の適切な処理や青色申告書類の作成など、初歩的な実務がある程度できる。
中小企業や個人商店の経理事務に役立つ。引用:
各級のレベル_日本商工会議所
簿記の資格を持っていなくても業務で仕訳・出納管理を行っている人もいるし,
学生時代に3級取得したよー, という友人も複数いる.
フリーランスは帳簿付け・確定申告作業からは逃れられない.
それ以外のビジネスパーソンは商工会議所HPに書いてある通り
- ビジネスパーソンに必須の基礎知識
というのが正しい捉え方だと思う.
私が業務をすすめる中で「こんな場面で役立ったよ!」という事があれば都度ブログで紹介したいと思う.
どんな人に役立つか
ここではフリーランス以外の人について紹介する.
確定申告を行うフリーランスに役立つことが分かっているので.
3級の枠からはみ出してしまうけど… 「こんな人に役立つよ」 という概要は次の通り.
- 税理士,
公認会計士を目指す人 - 財務・会計 関係の職種への就職・転職を目指す人
以下, それぞれについて解説.
※追記 20170115
公認会計士受験資格に簿記は必須ではない, というご指摘を頂きました.
税理士, 公認会計士 を目指す人
かの有名な国家資格である 税理士 への受験資格は
- 簿記1級 合格
が必要.
ただ, 次のような他の資格を持っていれば必須というわけではないらしい.
受験資格にはどのようなものがありますか。
受験資格 提出する書面 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者 商工会議所発行の合格証明書(合格証書は不可) 社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。) 社団法人全国経理教育協会発行の合格証明書 (合格証書は不可) 会計士補 日本公認会計士協会発行の登録証明書 会計士補となる資格を有する者 公認会計士・監査審査会発行の旧公認会計士試験第二次試験合格証明書又は同試験の免除科目が全科目に及ぶことを証する書面 引用:
税理士試験に関するQ&A_受験資格について_国税庁
2017.01.15 現在
財務・会計 関係の職種への就職・転職を目指す人
私は一時期, リクナビ や マイナビ 等の転職サイトに登録していた時期がある.
履歴書や職務経歴書には当然のように 「資格」欄 があるので, 転職エージェントや採用担当者に確認されるのは言うまでもない.
だから, ここでは転職を目指す人を例に解説する.
転職の場合, 資格よりも実務経験を重視される傾向がある.
それでも 「未経験だけど財務・会計関係の仕事がしたい!」 と思う人がいるだろう.
そんなとき, 資格の有無は採用確率に大きく影響を与える.
なぜなら, 私が企業採用担当者で次の2人で採用可否に悩んだ場合, 確実に後者を採用するから.
- 未経験 で やる気はあるが, 簿記・会計関係の資格が何もない入社志望者
- 未経験 で やる気もあり, 簿記xx級の資格を持つ志望者
しばしば次のような言葉を耳にすることがある.
- 今の時代, 資格・学歴なんて意味ないよ
- 個人で何が出来るかが大切だよ
- 簿記3級なんて業務で使わないよ
残念だが, この考え方はクリエイティブな業界(WEB/IT系, デザイン/製作系)でのみ通用する考えであって, 転職市場とは無関係だ.
クリエイティブ業界はポートフォリオ(作品)を持ち込んで採用担当者と話すことが多い.
なぜなら, ポートフォリオを見れば 何が どの程度 出来るのか判断しやすいから.
実際, 私がwantedlyを利用して数多くの会社訪問をしたときも自分が書いたコードを持参したし.
そのときに書いた記事はこちら.

財務・会計 関係への転職希望者にはこのような言葉に惑わされずに, 堅実に資格取得を目指して欲しい.
どんなことができるようになるか
フリーランスの立場ではこの一択かなと.
- 正しく帳簿をつけられるから自分の事業の健康状態が正しく把握できる
自分の事業の健康状態は数字で把握するのが一番.
そのためには正しく帳簿を付けないとね.
ある程度自分の作業が仕組み化されたとき,
- 改善すべき点
- もっと伸ばす点
を把握するのもやっぱり数字を見なきゃ分からない.
数字を追うことが「なんとなくの作業」から脱出するきっかけになると思う.
「級」によって何が違うのか
私の簿記に対する直感的な印象は次の通り.
- 簿記 1級 取得者 ≒ お金に関するプロフェッショナル
- 簿記 3級 取得者 ≒ 一般人に比べて少しだけ財務・会計に詳しい人
これだけだと漠然としているので, 商工会議所HPを参考に各簿記資格取得者別の違いをまとめてみる.
級 | 解説 |
---|---|
1級 | 次のような職業への受験資格を得られる – 税理士 – |
2級 | 最も企業に求められる資格. 財務担当者に必須. |
3級 | ビジネスパーソン必須基礎知識. 青色申告に挑むフリーランス必須知識. |
4級 | 小規模商店経理レベル |
私は昨年確定申告で苦労したので 3級を取得した.
青色申告書類を自分で作成したいフリーランスが体系的に周辺知識を習得するのに最適な資格は
- 簿記3級
だと思う.
フリーランスが簿記3級を取るメリットってなに?
フリーランスが簿記3級を取得して得られるメリットは次の一択だと思う.
- 帳簿の付け方を学び青色申告を行うことで大きな節税対策になる
青色申告の概要
青色申告特別控除: 10万円 or 65万円
赤字繰越: 3年間
経費の対象: 親族への給与が可(専従者給与)
経費対象金額: 30万円未満なら一括で今年度の経費に計上可(合計300万円まで)
白色, 青色の違いを知りたい方は次の記事をご参考に.

簿記3級を取っても分からないこと
簿記3級を取得しても完璧に確定申告作業がこなせるわけではない.
むしろ, 日々の帳簿付けの時点で苦労することもしばしばある.
たとえば次の点は調べないと分からない.
- クレジットカードが絡む帳簿付け
クレジットカードを使わないフリーランスの方が少ないはず.
残念ながら私が受験した簿記3級では「クレジットカード」という単語すら出てこなかった.
一方で, 私はクレジット決済を行う場面が多い.
不安な箇所がある以上,
- ググる
- 専門家に相談
という作業からは逃れられない.
とは言っても, 3級取得して良かったよ
前回の確定申告では本当に何もわからない状態で青色申告書類を作成した.
書類作成にあたって, あまりにも
- ググる時間
- 書籍等で調査する時間
が掛かって苦戦した.
だから, もう二度と同じ思いはしたくない.
今は最低限の仕訳の知識があるので, 前回に比べれば随分見通しが良くなった.
きっと次回の確定申告はもっと短時間で書類作成が完了するはず.
事業主である以上, 最低限のお金周りの知識は身に付けておきたい.
簿記3級はその第一歩だと思う.
フリーランスの私から見た 「簿記とは」 の解説は以上.